公金支出差止め 那覇地裁

公金支出差し止めを命令 泡瀬干潟訴訟で那覇地裁
 沖縄県沖縄市の泡瀬干潟を埋め立てて人工島を造成する工事で、住民計約580人が事業を進める県と市の公金支出差し止めなどを求めた住民訴訟の判決で、那覇地裁の田中健治裁判長は19日、「現時点で事業は経済的合理性を欠き、支出は地方自治法などに反し違法」と判断、県に対しては将来分を、今後支出予定だった市に対しては一切の支出を差し止めた。
 埋め立て事業費だけでも約489億円に上る大型公共事業に事実上、ストップをかける画期的な判断となった。
 判決理由で田中裁判長は、開発計画を策定した沖縄市が昨年12月、既に着工した第1区域約96ヘクタールの利用計画を見直し、残りの第2区域については計画を撤回すると表明した点に言及。
 第1区域については「具体的な土地利用計画も定まっていないのに、埋め立てが相当程度進んでいる事業の進ちょく状況を追認する形で事業を推進しようとするものだ」と批判。第2区域も含めて「現時点では、事業は経済的合理性を欠いている」と指摘した。県による埋め立ても「市の事業が経済的合理性を欠く以上、合理性は認められない」と述べた。
 一方判決は、確定までに支払い義務が生じた部分の県の公金支出は認めた。住民側弁護団長の原田彰好弁護士は「控訴されて、裁判が続くと判決が確定せず、その間の工事契約や代金支払いが許されてしまう。県は工事を止めて計画を再検討すべきだ」と話した。
 住民側は、国内で沖縄本島だけに分布する海藻クビレミドロなどの希少生物の例を挙げ、行政側の環境影響評価がずさんだったと主張したが、田中裁判長は「動植物の調査で確認されなかった種があるなど不十分な部分はあるが、違法とまでは言えない」と判断した。
 事業への支出を命じた当時の稲嶺恵一前沖縄県知事と環境影響評価を行った国に計20億円の損害賠償を請求するよう県に求めた請求は退けた。


 中日新聞19日付夕刊記事からです。
 自治体の公金支出を差し止めるという判決は、改正前の行政事件訴訟法であれば、ほとんど認められなかったと思います。裁判官というのは、条文があると「安心して」判決を出す習性があるということが理解できます。

 行政計画の処分性を認めた最高裁判例が9月に出されたのは記憶に新しいところです。こうした裁判所の中での「空気の変化」を、この裁判官もある程度理解しているのかもしれません。

 問題は、原告側の弁護士の方がおっしゃっているように、自治体が控訴すれば、判決が確定しないため、公金支出がなされることでしょう。

テーマ : 自治体政策法務論 - ジャンル : 政治・経済

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